荒川章義『思想史のなかの近代経済学』

経済学自身の発見

シュンペーター
「あらゆる科学における最初の発見は、その科学自身を発見することにほかならない。解決すべき問題を与える一連の諸現象が存在するという意識こそが、あらゆる分析的努力の前提条件を形成する。この意識は、多くの社会科学の場合には、他ならぬ自然法の概念の中に形成された」

方法的個人主義、最適化仮説、均衡理論→自然法の思想=啓蒙の哲学に起源がある

啓蒙の哲学

『理性』への信仰→「自然」と「社会」、つまり自然の物理法則と社会の道徳法則は、ともに神の設定し造形したもの→自然法則と同様に、社会も、自律的・規則的な「自然法」に支配される→超越的存在に依拠することなく、純粋に内的に基礎付けることのできるものを、すべからく「自然」と呼ぶ

方法的個人主義

分析的(analytical)―構成的(synthetic)という物理学の手法(ニュートンガリレオの理論)を、社会にも適用する。つまり、国家を『物体』(body)とみなし、『国家状態』(civic state)を『自然状態』(natural state)へと読み換える、ホッブスが登場した。→解析力学から経済学へ

功利主義

精神と物質の二元論→物質(自然)の一元論へ

啓蒙期以前は、人間の性質をそのまま自然へと投影するが、啓蒙期以後は、自然の性質をそのまま人間へと投影する。(『啓蒙の弁証法』)

啓蒙期以前は、情念や欲望は精神に対する撹乱要因にすぎないとしたが、啓蒙期以後は、情念や欲望こそが、精神に対する必要欠くべからざる推進力にほかならないと考えるようになる。