野村 喜和夫『現代詩作マニュアル―詩の森に踏み込むために』 詩の森文庫

前半の「詩の歴史」に関する部分は、なるほどと思う。戦後派=「荒地」から始まり、やがて表層=イメージの氾濫する、豊饒な(しかしある意味、退屈な)詩へと移行していく様がよくわかり、勉強になる。
 後半の「詩の原理」「詩のキーワード」部分は、物足りない。マニュアルと謳ってあるのだからそれ以上のことを期待してはいけないのだろうが、しかし、こういった原理的なことをもっとぎりぎりまで問い詰めた本が読みたい。詩の限界をスタティックに問い詰めたような本が。(やはり参考文献に自ら当たってみる、或いは、詩をもっと読む、しかないのかな。)