theory

『社会学のおしえ』馬場靖雄

第一章 社会的動物としての人間社会学とは、人間に関するさまざまな出来事を、人と人との関係(社会関係)を中心に研究する学問である。たとえば、マルセル・モースの身体技法(techniques du corps)という概念があるように、身体的な立居振る舞いでさえ「…

『自由主義の再検討』藤原保信

自由主義を中心とした社会思想史の入門書。とても良くできている。

荒川章義『思想史のなかの近代経済学』

経済学自身の発見シュンペーター 「あらゆる科学における最初の発見は、その科学自身を発見することにほかならない。解決すべき問題を与える一連の諸現象が存在するという意識こそが、あらゆる分析的努力の前提条件を形成する。この意識は、多くの社会科学の…

現代思想の冒険者たち 三島憲一『ベンヤミン』

ベンヤミンは、とても好きだ。「翻訳者の使命」「暴力批判論」「歴史哲学テーゼ」などは一読して、その難解さや神秘的な傾向にとまどいながらも、強く魅きつけられたのだった。解説書にしてはボリュームもある。内容も悪くない。しかし、ベンヤミンは、まだ…

小此木啓吾『フロイト思想のキーワード』

ラカンに続き新書本を読む。フロイトの復習にはもってこいの本だ。重要なキーワードのエッセンスだけを、小気味よく羅列してある。いくつかの発見と、いくつかの概念を再確認できた。・フロイトの誠実さ「そして私は、あのフロイトの学問的な真理を追求する…

市野川容孝『身体/生命』

こちらは、フーコーの「生−権力」を、西洋近代医学の系譜を辿りながら解説したもの。ただし、ビシャやピネルなどの著作に直接当たることで、フーコー自身をも批判し、そのプロジェクトを先に推し進めようという意図もこの本には込められている。王の身体の変…

新宮一成『ラカンの精神分析』

入門書としては、なかなか良い本。ラカンの理論が、自己言及のパラドックスに依拠して構築されていることがよくわかった。それゆえに、強固な論理的一貫性を持つ。つまり、手強い。だけど、何でもかんでも対象aや黄金比でもって説明できてしまうのが、ちょっ…

アガンベン『アウシュビッツの残り物』を読む

恐るべき書物。だが、私的にも公的にも、避けて通れなくなるだろう。まだまだ読み込みが足りないが、一つメモを。「恥かしさとしての主体」という考えは、最高にして最低な素晴らしい発想。鵜飼さんが、ドゥルーズとジュネの美学に触れて、「恥かしさ」ある…

渋谷望『魂の労働』読了

よくできたデッサン、それも力強い線で的確に描かれたような。「規律訓練から管理社会への移行」は、どのように現象しているのかを描写すること。「労働」は、フォーディズムからポストフォーディズムに至り、どのように変質したのか記述=分析すること。そ…

フーコー『監獄の誕生』を読む

規律訓練の社会から管理社会に移行しつつある。これが、ドゥルーズの予言でもあり、遺言でもあった。「君達の先輩が苦労して規律の目的性をあばいたのと同じように」、管理社会について若者よ、たゆまず思考し、その欺瞞を暴けという言葉をわたしは胸に銘記…

稲葉振一郎『リベラリズムの存在証明』を読む。

理論が、生々しい。それが、なにより凄い。『波状言論5,6号』で東浩紀は、「リバタリアン的土台の上に複数のコミュニティが乗っかっている」というのが現在の社会だと言う。また、北田暁大は、「リベラリズム」とは、そのコミュニティ間の移動の自由に関わ…